筆者は米国での敗血症研究の経験も持つ、臨床救急医である。
敗血症の歴史から今の診断基準にいたるまでの経緯が説明されており、ガイドラインの変遷もわかりやすくまとまっている。
各論では敗血症の診断マーカーや身体所見の記載から、外傷後の敗血症や熱傷後の敗血症まで説明されている。よく行われるフルイドチャレンジ(fluid challenge)は有効なのか?など臨床疑問についての記載もある。
各々の薬剤の投与方法や腎代替療法・輸血・ECMOなどまで言及されており、基本的にすべての項目で文献にもとづいた記載がなされている。文献的考察だけでなく、筆者がそれらをどう考えているか・実際にはどうしているかなども記載されており、臨床医であることがうかがわれる点が多く見られる。
敗血症診療の概略と歴史を理解するにはよい本だと思う。特に初期研修医学ぶことが多いと思う。