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Clinical features and outcomes of nonocclusive mesenteric ischemia after cardiac surgery: a retrospective cohort study

Sakamoto, Takashi MD, MPH; Fujiogi, Michimasa MD; Matsui, Hiroki MPH; Fushimi, Kiyohide MD, PhD; Yasunaga, Hideo MD, PhD

【背景】

 心臓血管外科術後の非閉塞性腸間膜虚血(NOMI)は緊急での治療を要する致死的疾患である。発症は稀であり、その特徴やアウトカムは十分に知られていない。

 本研究の目的は日本のDPCデータベースを用いて、NOMIの特徴とアウトカムを記述することである。

【方法】

2010〜2017年の間に心臓もしくは胸部大動脈手術を受けた患者を抽出。
NOMIの発生頻度や行われている治療、患者の退院時情報を収集した。

【結果】

221,900人の患者が抽出された。うち568人(0.26%)が同一入院中に何らかの腸管虚血を起こしていた。
これらの患者のうち、124人(0.06%)がNOMIと診断れていた。
NOMIと発症した患者のうち77%は在院死亡していた。
治療のうちわけは

 腸切除のみ 34人 ➡︎ 27人死亡

 IVR:血管内治療 15人 ➡︎10人死亡

 腸切除およびIVR  15人 ➡︎8人死亡

 腸切除もIVRもなし 60人 ➡︎ 50人死亡

であった。NOMIを発症した124人中、7人のみが自宅退院できていた。

多変量解析では高齢、術前透析、術前の循環サポート、術中の低体温を伴う人工心肺がNOMIの発症と関連していた。

【結論】

心臓血管外科術後のNOMIは稀である。治療介入が行われたとしても死亡率は高い。