生存時間分析はどのような時に行うのか?
「生存時間分析」と聞くと、生死に関わるような印象を受けますが、例えば「虫垂炎の再発」など生死に関わるもの以外も対象となることもあります。
つまり、「生死」とは関係ありません。
つまり、「生死」とは関係ありません。
生存時間分析を理解する上で大事な用語が2つあります。
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発症率(ハザード、Hazard)
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打ち切り(センサリング、Censoring)
今回はこれら2つのうちの発症率について説明します。
発症率(ハザード、Hazard)
日本語では「割合 proportion」と「率 rate」がごっちゃになって使用されていることも珍しくはありません。
「死亡率10%」といった使用方法は、疫学の観点からは正しくないですが、日常会話や意思疎通には影響がありません。
しかし、論文を見ていく上で「割合 proportion」と「率 rate」の区別をすることは重要になってきます。
割合 Proportion
おそらく直感的に分かりやすいのは、「割合」だと思います。
例でもあげた「死亡率10%」が、「全体の中の10%の人が死亡します」の意味だとすれば、それは「割合」です。
この定義からすれば、「死亡割合10%」が本来的には正しい表現となるが、違和感を感じる人も多いと思います。
私も同様に違和感を感じるため、日常的には「死亡率10%」という表現を使用しています。
ただし、論文の中では「割合Proportion」が私たちが普段よく使う”率”を意味するのだということは、覚えておく必要があります。
率 Rate
そうすると率とは何なのか?
おそらく、あまり馴染みのない方も多いと思います。
概念的にいうを「率Rate = スピード(速さ)」と考えることができる。なおさら分かりにくいという方が大半だと思うので、ここから説明します。
人年法
率を理解するには、この人年法を理解する必要があります。
大丈夫、難しくありません。
「人年」というのは単位の一つだと思ってください。
人年=人 x 年
です。「人」には観察している人数、「年」には観察している期間が入ります。具体的には
1人の人を半年間観察した場合は
1人 x 0.5年=0.5人年
となります。
2人の人を3ヶ月間観察した場合は
2人 x 3/12年 = 0.5人年
1人年をもっともイメージしやすい方法で考えると
1人 x 1年 = 1人年
つまり、1人の人を1年間観察しているということを表します。
これを理解した上で、「率 Rate」を考えてみましょう。
例えば、5人の人を1年間観察したときに、病気にかかる人が3人いたとします。
その時の「率Rate」は病気にかかるというイベントの回数が計3回あり、観察は5人x1年間で5人年なので、
その時の「率Rate」は病気にかかるというイベントの回数が計3回あり、観察は5人x1年間で5人年なので、
3/5人年 = 0.6/人年
となります。
なんだ、割合Proportionを同じじゃないか!という声が聞こえてくそうですが、違います。ここから先が重要です。
現実には全員を同じ時期に同じ期間観察できるということばかりではありません。つまり、
ということの方が多いということです。
この場合は総人年は
この場合は総人年は
(1人x3/12年)+(1人x5/12年)+(1人x7/12年)+(1人x12/12年)+(1人x3/12年)=2.5人年
観察期間に❌のイベントが2回起こっているので、率 Rateを計算すると
発症率 Rate =2/2.5人年 = 1.2/人年
となります。
結果の解釈としては、1人を1年間観察していると、イベントが0.8回起こることになります。
さらに、分かりやすく考えると、100人を1年間観察していると80人が病気にかかることを意味します。
いかがでしたか?率と割合の違いが、伝わったでしょうか。
みなさんの理解に少しでも役立てばと思います。