東大SPHのオススメ講義

2019年春に東大SPH(公衆衛生大学院)を卒業して、MPH(Master of Public Health)を取得しました。

1年間で50単位を取得しましたが、その中でもオススメの講義を紹介したいと思います。聴講も含めて、受講したのは以下のコースでした。受講したのはいずれも2018年度です。

【SPH講義】
臨床疫学と実践
医学データの統計解析
医学統計学演習
医学研究のデザイン
臨床疫学
臨床疫学・経済学演習
医療コミュニケーション学
医療コミュニケーション学演習
医療技術評価額演習
がん疫学
精神保健学Ⅰ
健康社会学
産業保健の理論と実践
保健医療人材育成学
医療情報システム学
医療情報システム学演習
法医学・医事法学
健康危機管理学
公共健康情報学

【他学部講義】
Academic Writing Intermediate
Academic Writing Advanced
Future Faculty Program
Pythonプログラミング入門(聴講のみ)

絶対オススメ講義

  • 臨床疫学
  • 臨床疫学・経済学演習
  • 健康社会学
  • Future Faculty Program

SPHの授業は一般的にいい授業が多いのですが、中でも上記4つは絶対にオススメです。

臨床疫学

そもそも臨床疫学ってなんだろう?というところから、論文の読み方まで幅広くカバーしている授業です。これまで英語論文をあまり読んで来なかった方にはなおさら強くオススメします。一部のみ授業の抜粋をします。

臨床医学は個々の患者の情報を収集し、現在ある診療手段を利用して、患者の臨床上の問題を解決しようとする科学。

疫学は人間集団における疾病のリスク、要因への曝露と発生の因果関係などについて研究する科学。

臨床疫学は臨床医学と疫学を融合した学問。

                         臨床疫学講義より

とあります。結局は医療者の関わる研究の多く(基礎を除く)が臨床疫学だということになります。どのような研究方法があるのか?を各授業でテーマ別に扱ってくれるので、体系的な知識が身につきます。後半ではCQ(クリニカルクエッション)を実際に研究できるテーマに推敲する課題があります。医療者・非医療者にかかわらず、とるべき授業と言えます。

この授業では以下の本が、参考書にあがっています。

英語版と日本語版がありますが、私は日本語版を読みました。
そこまで突っ込んだ内容は書いていませんが、臨床疫学全体を把握するにはいい本だと思います。

臨床疫学・経済学演習

この講義は前述の「臨床疫学」の演習版です。この講義では、論文の書き方を学びます。特に、有名雑誌の中からすでに発表されている論文を用いて、「全体を読んだあとに、Abstractの一部を書いてみる」「全体を読んだあとに、Discussionの一部を書いてみる」など、かなり実践的な要素が含まれています。そんなことできないと心配になりますが、段階を踏んで徐々に難易度をあげてくれるのと、ひとりずつ添削してくれるので、レベルに合わせて勉強できると思います。英文論文を読めるようになりたい方には絶対にオススメです!参考図書には以下の本が挙げられています。

健康社会学

特に医療者には強くオススメです。これまで社会学にはまったく触れていないという方が、様々な視点で社会や医療の問題を考える機会を与えてくれます。

社会学では社会の構造を構成員の行為の関連を見ていきます。

実際には授業を聞いても理解できない言葉が出てきたりもしますが、なんとなくわかってくるといった感じです。

具体的にはMarx、Durkheim、Weber、Mead、Parsons、Homans、Goffman、Foucaultなどの考え方を先生がわかりやすく説明してくれます。

私は授業だけでは難しい面もあったので、参考書として以下を使用しました。

「自分を知るための社会学入門」はとりあえず、社会学って何をしているのかと知るために読みました。読みやすい内容で、初心者向けに書かれていると思います。

「行為、構造、文化の社会学」はこれだけを読んでも難しいかもしれませんが、授業とある程度リンクしていたため、役に経ちました。

社会学はおそらく、多様性に富んだ社会で生活するためにも一度は学ぶとその後の生活に役立つと思います。

Future Faculty Program

この講義については他でも触れているのでそちらをご参照ください。

大学の先生が「先生」になるための授業①

オススメ講義

  • 医療コミュニケーション学演習
  • Academic Writing Intermediate
  • Pythonプログラミング入門(聴講

絶対とまでは言わないものの、余裕があれば受けるといいと思う授業です。

医療コミュニケーション学演習

実はこの演習の前にも「医療コミュニケーション学」という授業があり、それもオススメですが、こちらの演習の方がよりオススメです。

世の中には多くの宣伝や広告があるのに、どうして健康問題や検診の案内で行政の作る広告は読む気にならないのか?どうすれば読む気になる広告が作れるのか?そんな方法を実習形式で行います。また考え方やその個人には特性があることを知る機会も与えられています。

実習の一部にはMBTI(Myers-Briggs Type Indicator)演習があります。これはユングのタイプ論をいうものを応用して、コミュニケーションに役立てようとするものです。これだけでも受ける価値はあるかもしれません。

 

Academic Writing Intermediate

こちらは文学部英文科の授業ですが、学部横断的に様々な学部から受けにきています。3つのレベルのクラスわけがあり、Intermediateは真ん中のクラスになります。文学的な記述方法や難しい単語を学ぶのではなく、英語で記述する際の基本的なルールを学ぶには最適の授業です。

授業中や宿題にも短いessayを書く機会があり、しかもすべて添削してくれるので、これまで英語を書いた機会のない方にもオススメです。

私が受講した時には以下のテキストを使用しました。ただし、タームによって講師も異なるようなので、よく確認が必要です。

Pythonプログラミング入門

通常タームを夏季の特講があり、私は夏季特講を受講しましたが、余裕のある方は通常タームでの受講をオススメします。

プログラミングの経験はまったくない状態で望みました。ご存知の方も多いと思いますが、小学校からプログラミンの授業が始まることも考えると、基礎や構成くらいは理解しておくことも重要かもしれません。

夏季特講ではかなり詰め込まれたスケジュールで消化不良必須です。

ゆっくり時間をかけて勉強するには通常タームでとるのがいいと思います。


いかがでしたか?これから東大SPHを受験しようと考えてる方や、SPHって何するの?という方、そして何かこれから勉強したい!と考えているすべての方の役に立てばと思います。