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Short-Term Outcomes of Laparoscopic and Open Total Gastrectomy for Gastric Cancer: A Nationwide Retrospective Cohort Analysis
Sakamoto, Takashi MD, MPH; Fujiogi, Michimasa MD; Matsui, Hiroki MPH; Fushimi, Kiyohide MD, PhD; Yasunaga, Hideo MD, PhD
P:Stage I-III の胃癌に対して胃全摘 術を受けた患者(2010 年 7 月から 2017 年 3 月)
I:腹腔鏡下胃全摘術
C:開腹胃全摘術
O:死亡率、合併症発生率
【方法】傾向スコア分析により比較する。多変量ロジスティック回帰分析により、合併症発生のリスク因子を求める。
【結果】 58,689 人の当該患者から、傾向スコアマッチングにより 12,229 組を 作成した。2 群間で、在院死亡割合 (0.7 対 0.6%, p=0.58) と全合併症発生割合 (17.3 対 17.5%, p=0.66)に有意差は認めなかった。腹腔鏡下胃全摘術は縫合不 全(2.9% vs 1.7%, p<0.001)、吻合部狭窄 (0.9% 対 0.6%, p=0.02)が有意に高割合 で認められ、一方で膵損傷 (1.4% 対 1.8%, p=0.013)、吻合部出血 (0.9% 対 1.7%, p<0.001)、輸血(9.9% 対 17.7%, p<0.001)は有意に低割合であった。また 同群で術後食事開始日数 (4 対 5 日, p<0.001), 術後在院日数(14 対 15 日 p<0.001)の有意な短縮を認め、麻酔時間は長かった (323 対 304 分, p<0.001)。
【結論】腹腔鏡下胃全摘術は開腹胃全摘術と比較して、全合併症発生割合に は有意差がないものの、術後食事開始日数や術後在院日数の観点では開腹胃 全摘術に優っていた。