【読書感想】生涯論文!

この手の類書はたくさん見かけますが、こちらは原著論文をバンバン書くというよりはLetterなどのpublishされた論文に対する意見を投稿することの意味や方法にページが割かれています。

全5章で作られています。

第1章:時間も研究費もない普通の臨床医でも、英語論文の発表はできる

導入といった感じです。


第2章:英語論文を書くための基礎知識

本当に基本的なことから書いてくれています。一緒に研究してくれる人を探すことや国をこえた付き合いの重要性を解いてくれています。また研究や論文作成する上で知っておくべき「研究不正」や「利益相反」についてもここで解説してくれています。

第3章:論文をかくための英文医学専門誌の読み方

タイトルは「論文を書くための」としているが、一般的な論文を読む上での着目する点をまとめてくれている。全体として結果の解釈方法について記載されているが、私個人としてはもっと「方法:method」に注目した読み方をすることが重要だと思う。

第4章:英語論文を書く

症例報告の書き方だけでなく、その前段階の準備段階のことから書いてくれている。まだ論文を書いたことのない人には、とっかかりとしてはよいと思うが、実際の例文や自身の症例報告が例示されていないのは残念である。

他、LetterやOpinionの書き方や原著論文の書き方も載せられているが、原著論文の項に関しては類書にもっと系統的に書いてくれているものもあるだろう。

第5章:いよいよ投稿!英語論文出版までの道のり

投稿先の選び方も書いてくれている。インパクトファクター重視も悪くはないかもしれないが、私の場合はその雑誌がどのようなテーマを載せたいと思っているのか、趣旨に自分の投稿しようと思っている論文があっているかなどを重視する。

カバーレターや投稿までのことをざっとまとめて書いてくれているが、実際はもっと大変なことも多いだろう。査読コメントの対応の仕方に関しては具体例がなかった。丁寧に回答することは当然なので、よくあるコメント例などについての言及があってもよかったかもしれない。


全体的には少ない分量で広い範囲の事柄についてまとめてくれている。
まだ論文をまったく書いたことのない人がまず読むにはいい本だと思う。逆に書いたことのある人にとっては、物足りない内容かとも思う。