急性虫垂炎とならんで、胆嚢炎もよく遭遇する疾患だと思います。
虫垂炎の治療についてはこちらをご覧ください。
ただ、虫垂炎以上に治療法の選択肢があると思いませんか?入院後にすぐに手術になる患者、抗生剤治療だけで退院する患者、経皮的穿刺ドレナージをする患者など様々だと思います。
治療法は一体どうやって決められているのでしょうか?
急性胆嚢炎の治療ガイドラインは2007年に「Tokyo guideline」として出されてから、最新では2018年に改訂されています。
元の論文(英文)も日本語版も無料で公開されていますが、書籍としても販売されています。
参考 急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン2018Minds診療ガイドラインライブラリ
急性胆嚢炎の治療方針を決める3要素
①胆嚢炎の重症度
軽症・中等症・重症に分類されます。
ざっくり言うと、
・胆嚢炎によって臓器障害が起こっているものが「重症」
・炎症が強いか、発症から時間が経過しているものが「中等症」
・「重症」「中等症」に当てはまらないものが「軽症」
といった感じです。
②患者の元気具合
つまりは手術に耐えられるかどうかということ。併存疾患指数(Charlson comorbidity index :CCI)や米国麻酔科学会による術前状態分類(American Society Anesthesiologists physical status classification:ASA-PS)が、指標として用いられます。
③術者の経験値
急性胆嚢炎はよくある疾患で、「胃癌や大腸癌に比べたら手術は簡単なんでしょ?」と考える方もいるかもしれません。
胆嚢炎の手術は決して容易ではなく、しかも術前には手術難易度の予想は困難です。そのため、腹腔鏡手術に慣れた外科医によって行われることが望ましいと考えれています。
急性胆嚢炎の治療の決め方
まずは重症度の判定をするところから始まります。
Tokyo guidelineを参考に作成しています。
①軽症の場合
②中等症の場合
③重症の場合
重症胆嚢炎の場合は原則的には早期手術は行いません。ごく一部で例外的に治療反応性が極めて良好で、併存疾患が少ない患者では高度な技術をもつ外科医によってのみ行われることがあります。
治療の細かいことはさておき、自分が担当した胆嚢炎の患者さんがどのパターンなのかを考えると、その先の治療が予測できる?かもしれません。