つまらない、教える気がない、授業にそもそも遅れてくる。
大学教員を含めた高等教育を担う教員は、授業の組み立て方やデリバリー方法を学ぶことは少なく、特に大学では研究メインで授業には力を注がない教員もいます。
大学のつまらない授業は多くのみなさんが受けた経験があると思います。
しかし、最近ではこの状況にメスを入れようという動きがあります。
一部の大学では教員採用試験に模擬授業やシラバスの作成を義務付けるところができつつあります。
私の通っていた東京大学大学院ではFuture Faculty Development programというものがありましたので紹介します。
Future Faculty Program(FFP)
このプログラムの特徴は
- 新任教員研修の枠組準拠
- アクティブ・ラーニングの手法を 体験しながら学ぶ
- 実践重視
全8回の授業で、各4時間弱の時間で行われました。
Day1
1分間自己紹介
事前に課題内容が伝えられており、1分間で自分の研究内容やこれまでしてきたことなどを、素人に対して過不足なく、わかりやすく説明します。
発表中は動画撮影されており、後日自分の動画を見直すことで発表時の話すスピードや癖などを客観的に見ることで、改善につなげることができます。
Day2
クラスデザイン
一回きりの授業をどのような観点から組み立てるかという授業です。
このような格言があるそうです。
The mediocre teacher tells.
The good teacher explains.
The superior teacher demonstrates.
The great teacher inspires.
〜William Arthur Ward
モチベーションを上げるにはどうすればよいか。詳細は細かくなるので、省略しますが、まとめると
生徒自身が目標を達成できそうかどうか(期待)、これから学ぶ内容に価値を見いだせるかどうか(価値)、周囲は協力的か(環境)によって影響を受けます。
目的と目標の設定
最初は違いがわかりませんでしたが、
目的はこれから学ぶことを、そもそもなぜ学ぶのか?の問いに対する答えであり、目標は目的を具体化したものと考えられます。
特に印象的だったのは、
- 受講者を主語に文章を作成すること
- 観察可能な行動で表現すること
という点です。つまり、「〜について理解できる」よりは「〜について説明できる」の方がよいということです。
アクティブラーング(AL)
最近ではよく聞くようになった言葉だと思いますが、一体なんなのか?取り入れようとしている学校も多いと思います。
あくまで、学生の理解を促すための手段であって、アクティブラーニングをすることを目的にしてはいけないというのが重要です。
いくつか例をあげると
- 問いかけ
- Think pair share
- Peer instruction
などがあります。
問いかけは、昔から先生がよくやっているやつで、挙手を促したりするものですが、大事なこととしては質問の意図を明確にすることと、段階的に難しくすることです。
Think Pair Shareはテーマについて始めは一人で考えてもらい、その後にペアで共有することで理解を促す方法です。
Peer instructionがもっともよく知られたALではないでしょうか。「短い講義や予習」の後に「多肢選択問題(ConcepTest)の実施」をして 「学生同士の議論」をして「解説」を行います。私がポイントだと思うのは、全体の理解度が30%以下になるような時には、概念の再確認が必要になるといった点です。なんでもALにすればうまくいくわけではないのです。
次回は大学の先生が「先生」になるための授業②です!
参考:東大FFP授業より